コンサル例「貨幣状湿疹」
お一人お一人にあったアロマテラピーとハーブのある暮らしを提案する、「薬剤師によるハーバルコンサルテーション」。
このところ、埼玉、栃木など、遠方からのお客様をお迎えするようになりました。
この日は、私が息子の貨幣状湿疹の際に試してみたアロマテラピーについての記事(⇒「貨幣状湿疹のアロマテラピーでの手当て」)をご覧になり、ぜひ相談したいと、埼玉県よりお越しの方をお迎えしました。
お肌の状態が今、最悪なくらいの状態で、病院の薬でも全然良くならないとお悩みでした。
皮膚科で貨幣状湿疹と診断され、手の甲などを中心に症状が一進一退。内服のステロイド剤もお使いでしたが症状は強いようでした。お顔の肌も揺らいでいるとおっしゃっていました。
自己流で、白色ワセリンにカモマイル・ジャーマン精油を混ぜたものをお使いで、それを使うとかゆみも和らいでよかったとのことでした。
まずは、肌が敏感になっているとき、精油自体が刺激となることがあるとお話ししました。
でも、病院の薬で全然良くならないから、自分では作ったことがない、ちょっと攻めたアロマテラピーのレシピを試してみたい。
お客様の意向を汲み取り、レシピを複数考えました。
とにかく敏感な肌におすすめのケアは、ハーブウォーターでとにかくこまめに保湿して、シンプルなミツロウクリームで保護。
保湿≠保護。
保湿しても、保護しなければ、乾燥する。
水分やセラミドが失われた弾力性のない肌は、防御力も落ちて、新たなトラブルを招きます。アトピー性皮膚炎では保湿と保護のケアは欠かせません。
シンプルなミツロウクリームは、ミツロウと、抗炎症作用があると言われるカレンデュラ油やホホバ油で簡単に作れます。
HERBAL Laboでは、カレンデュラ油を手作りしています。
ワセリンをお持ちだったので、ハーブウォーターで保湿して、ワセリンを塗ってみますとのことでした。それでも良いと思います。
精油を使ったレシピは、お客様と香りを確認しながらブレンドしてもらいます。
カモマイル・ジャーマン精油で症状が治まったとお話しされていたので、それはぜひ使いたい。濃い青色のカマズレンという成分を含むことが特徴のカモマイル・ジャーマン精油は、抗炎症作用を期待して。かなり濃厚で、精油の中では珍しいアニマル調とも例えられる香りで、「嫌い」「好きではない」とおっしゃる方も多い。ですが、私がお会いした方で、肌荒れに悩む方はカモマイル・ジャーマン精油の香りを「良い香り」「悪くない」と、体が欲するように感じる方が多い。
通勤やお仕事、ご家族への心配など、ストレスが多いとお話しされていて、周りの環境に潰されず、自分らしく咲いてほしいとの思いから、カモマイル・ローマン精油を選択。カモマイル・ジャーマン精油とは全く違う、甘いお花の香り。ストレスが多い方、ストレスから肌が荒れる時に使いたい。
『コーチゾン様作用』という、体内でステロイドのコーチゾン(コルチゾン)が放出されたときと同じような作用を持つ精油は、炎症を抑える働きがあるので、アカマツ・ヨーロッパやブラックスプルースの精油を嗅いで頂き、ブラックスプルースの精油を選択されました。
かゆみのためのかきこわしがあったので、抗感染症作用や止血作用をもち、香りもマイルドで優しい、ゼラニウムエジプトの精油を選択。
ファーナス油をベースに5%の濃いめの濃度でレシピを提案しました。
<貨幣状湿疹のためのトリートメントオイル(5%)>
・カモマイル・ジャーマン精油 2滴
・カモマイル・ローマン精油 2滴
・ゼラニウム・エジプト精油 3滴
・ブラックスプルース精油 3滴
・ファーナス油 10mL
カモマイル・ジャーマンの個性的な香りを、カモマイル・ローマンとゼラニウム・エジプトの香りが、マイルドに和らげて、使いやすい香りに仕上がりました。
また、普段の寝る前などを中心に使っていて気に入っているとおっしゃったアロマスプレーをお持ちになり、それを参考に、香りのお守りのアロマハーバルロールオンも作りました。
イランイラン、オレンジスイート、バジル、ゼラニウムエジプト、リトセアをブレンドして、甘く、思わず、深く息を吸いたくなるような香りができました。
手首に少し塗って、両手で器を作るような形にして、鼻をうずめ、大きく深呼吸して、香りを嗅いでみてください。嗅覚法と呼ばれる方法です。
自分だけの香りで、リラックスできることでしょう。
体調に合わせた、ハーブティーについて。
デトックスをテーマに、ネトル、ダンディライオン、カモマイルジャーマン、カレンデュラ、ローズヒップ、レモンバームをブレンドしました。
体の巡りをよくし、老廃物排泄を促しつつ、肌や心のケアも目指してみました。
お持ち帰りになられたものです。
万が一、お作りになったクラフトで、症状が悪化するようなことがあれば、すぐに中止して、様子を見てくださいね。病院でのお薬と上手に付き合いながら、うまく症状が改善していくことを願っています。
※薬剤師は診断できません。「こういう症状ですが、何の病気だと思いますか?」などといったお問い合わせには一切お答えできません。それは医師のみに認められた仕事です。アロマテラピーは薬として用いるものではないですし、ハーブは健康増進のための食品です。
このように、マンツーマンで、お一人お一人のお話をじっくり伺って、生活にアロマテラピーやハーブを取り入れる提案をしています。コンサルテーション料のほか、提案したレシピの中で作ってみたいと思われたものの材料費を追加で頂戴しています。同じお悩みでも、おすすめするケアや香りは違います。アロマテラピーやハーブのご相談は「薬剤師によるハーバルコンサルテーション」をご利用ください。病院でもらっている薬があれば、一緒にお持ちください。