漢方相談例10『匂いが分からない』

漢方相談の症例は、症状の改善が見られた患者様で、ご本人の了承を得たもののみ、ご紹介しております。

患者様背景

40代前半 女性

主訴

嗅覚障害(スケール10)

治療内容と患者様のご体調

初回来店:2023年9月。

1年程前から嗅覚がおかしくて、匂いが分かる日が週に1,2回あればいいほうです。透明な鼻水が鼻から出るのと、喉にも落ちてきます。咳が出て、昨日はそのせいで吐きました。鼻水が多いのは2~3年続いています。

1年程前から、嗅覚に違和感があり、匂いが全然分からないことが続いており、耳鼻科にも受診され、処方された薬で鼻水や咳は改善するものの、嗅覚は治らないままでした。料理をするのにも焦がしてしまったりと影響が出たため、来店されました。

鼻声で、透明な鼻水がズルズル出るということから、どこかに冷えがあるのだろうと思いました。手足は暖かく、脈もしっかりと力があり、体が冷えて困るという訴えはありません。また、体力もありそうです。

しかし、お話の中で、毎日氷入りのお酒を3杯飲まれるということが分かり、舌のむくみが強くありました。これは冷飲食により、流れにくいよどんだ水(痰飲)が生まれたと考えました。アルコール自体は熱を生むので、喉がさらに乾き、冷たいお酒をさらに飲みたくなります。まずは、お酒に入れる氷を無くすこと、お酒を飲む量を減らすことをお願いしました。

『金匱要略』の「痰飲咳嗽病」に出てくる「肺中冷」という病態と解釈して、痰飲を減らして、肺の気を通じさせる煎じ薬をお出ししました。

一番最初に咳の症状が動き、2日後から痰が減る、咳が減るなどの変化を感じられました。

薬を飲み始めて2週間たつ頃、5,6日間、鼻が効いている日が続きました。薬だけでなく、冷たいお酒を減らすなどの心がけも奏功したのだと思います。

良くなったかと思うとまた少し悪くなるということを繰り返しながら、開始から1か月後、去年は感じなかった金木犀の香りと、ガソリンスタンドの匂いが分かったと、とても嬉しそうに話されていました。

開始から1カ月半後、スケール1の日があれば、4の日もあるという感じでしたが、基本的には全く匂いが分からないという日はなく過ごされており、調子が悪い日に粉の漢方薬で体調を整えるくらいでマネージメントできるくらいまで改善しました。

ただ、この短期間で嗅覚はかなり改善が見られたものの、痰飲を減らすには十分な時間ではないと思います。実際に、冷えると鼻づまりや鼻水が悪化するようでした。この状態では、嗅覚の違和感がまた戻っても不思議ではありません。

対策としては、自身でも、冷飲食を減らす、運動を増やすなどの冷えに強い体を作る養生を続けていく必要があります。

平均すれば嗅覚が安定したとみられ、服用開始から2か月の時点で一旦終了としましたが、また嗅覚の違和感や鼻詰まり感が出たら漢方を飲むというようにされているようです。

当店をご利用頂き、ありがとうございました。

当店の漢方相談の流れについては、 こちら をご参照くださいませ。

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