ドクダミの異臭と魅力と活用
5月になると、緑が多い散歩道や庭の雑草として茂ってくるドクダミ。
ドクダミと言えば、葉っぱをちぎると大変な特徴的な香りというか、異臭(笑)を思い浮かべる方が多いでしょう。
でも、ハーブを習っている人にとっては、季節の嬉しい恵みかも?
薬学部の学生時代に、ドクダミについて習ったことはありましたが、私もハーブを習うようになって、改めて、ドクダミの存在感と有用性に魅了されました。
私の出身地の岐阜では身近にありふれた野草でしたし、東京でも、私の散歩道の井の頭公園や玉川上水などではかなりの量のドクダミが生い茂っています。
ドクダミは地下茎で増えるので、地上部に出ている部分を草として抜いても、完全に除去するのは難しく、抜いても抜いても生えてくるので、厄介だとおもっている方も多いのでは?
しかも、ちぎれるとアノ香りがしますしね。
ですが、ドクダミは、日本では古来から「十薬」という名前で、「日本三大民間薬」の一つとして挙げられていて、重宝されてきました。
ドクダミのプロフィール
・学名: Houttuynia cordata
・使用部位: 全草
・和名: 重薬、十薬
・主要成分: デカノイルアセトアルデヒド、クエルシトリン(葉)、イソクエルシトリン(花穂)など
・主な薬効: 利尿、抗菌
ドクダミの葉っぱは丸みを帯びたハート型。学名のcordataは、ラテン語で「ハート型の、心臓形の」という意味を持つそうです。
和名のドクダミの名は、「毒や痛みに効く」から「毒痛み」になったという説や、「毒矯み(毒をためる=なおす、矯正する)」から来たという説など、他にもいろいろな説があります。
中国語では魚腥草、英語ではfish mintといって、魚の生臭さから名前がついています。
生薬名の重薬はドクダミを陰干ししておけば重宝することから、十薬は十の薬効があるからという由来があるそうです。
こんなに薬効があって、役立つと知ったら、ドクダミがハーブのお宝の山に見えてきたりして?!
私の庭に生えているドクダミはほんの少しでしたので、チンキと、ドライのハーブを作りました。
ドクダミの特有な匂いのデカノイルアセトアルデヒドは、強い抗菌作用を持っていますが、乾燥したら酸化して、その薬効も失われます。そして匂いもマイルドに変化します。
ですが、クエルシトリンやイソクエルシトリンといったフラボノイドは揮発しないので、チンキにしておくと活用できます。これらの成分はハーブを勉強していると聞いたことがある成分かもしれませんね。利尿作用、毛細血管の透過性を減少させる作用、抗炎症作用などを持ちます。
クエルシトリンは、ドクダミが開花する時に成分の含有率が高まるそうなので、ぜひ開花している時にドクダミを摘んでみてください。
ドクダミチンキのレシピ
~花だけの場合~
・ドクダミの花 5g
・ウォッカ(40度) 30mL
~葉だけの場合~
・ドクダミの葉 20g(瓶に入れやすいように、ちぎる)
・ウォッカ(40度) 100mL
~作り方~
1.ドクダミの地上部を切って、たっぷり溜めた水+流水で汚れを流す。庭にあるものといっても、砂がついているので、使う前に洗いましょう。ゴシゴシ洗えるものでないから、犬の散歩コースになっているようなところのものはやめておきたいですね。
2.洗ったドクダミは、水気を切って、束ねてつるして、1日干す。あまり長く干すと含有成分に変化があるので、水気がしっかり切れるくらいで十分です。
3.水気が取れたら、葉と花を摘み、煮沸消毒しておいた瓶に詰める。葉と花を一緒につけても問題ありませんが、花だけのものの出来上がりがよりフルーティーに思います。
4.分量のウォッカを注ぎ、蓋をする。花や葉の量がこれよりも多い場合には、必ず、ひたひたに浸かるだけのウォッカを加えてください。
5.1日1回、瓶を良く振り、抽出を促します。
6.1カ月後に、濾して、煮沸消毒した清潔な容器に入れて、出来上がりです。
補足)
・漬け込むアルコールの種類
ウォッカ(40度)の替わりに、ホワイトリカー(30度程度)でも可能です。ただし、クエルシトリンやイソクエルシトリンなどドクダミの有効成分は水溶性成分が多く含まれるので、無水エタノールなどの度数が高いアルコールは抽出効率が下がるのでお勧めできません。また、度数の低いアルコールは、保存に向きませんのでこちらもお勧めできません。
・毎日振らなければいけないか?
液面からドクダミがはみ出していない場合には毎日振らなくても大した影響はありませんが、出ているような場合には腐敗防止になります。
・濾し方
私は、コーヒー用のドリッパーとコーヒーフィルターを使っています。濾す前にドリッパーもウォッカを染み込ませたキッチンペーパーでふき取ると、長期保存のため安心です。
ドクダミのチンキの利用法
出来上がったチンキは、ドクダミの異臭が消えて、ちょっとフルーティー?フローラル?な感じを思わせます。
・飲用
小さじ1杯程度(お好みで加減)を、お茶、お水、お湯などで希釈して飲みます。
・入浴
50mL程度を入れて薬草風呂を楽しみます。
・ローション
小さじ1~2杯(5~10mL)のチンキに、精製水を足して100mLまで薄めます。お好みで、保湿成分のグリセリンを5mLまで添加します。
このほか、ドクダミは干してドライハーブにしたら、ハーブティーにもできます。生葉と違い、とても飲みやすくなります。
夏に体の中に熱がこもってむくみがある時、膀胱炎、ニキビなどで役に立つでしょう。
1種類でも飲みやすいですが、緑茶やペパーミントティーなどと混ぜるとよりおいしくなります。
また、蒸留してハーブウォーターを作ってもいいですね。市販のドクダミウォーターはとてもフルーティーでいい香りで、初めて嗅いだときは驚きました!
ドクダミウォーターも、炎症を抑える効果が期待できそうなので、夏のあせもや、にきびなどの炎症が多い方にも良いかもしれません(肌に合わない時はやめてくださいね。)。
その他にも、中国の北部を中心に、どくだみの地下茎を食べるそうです。
葛飾区新小岩の「貴州火鍋」という中華料理屋にて、ドクダミと牛干し肉の炒め物を食べたことがあります。挑戦してみたい方は、ぜひ行ってみてください。
ドクダミのハイボールとともに、、、
味は、、、ドクダミです!(笑)
お庭にドクダミがある皆さん、厄介な雑草だとは思わず、日本の古来のハーブとして、注目していただけたら嬉しいです。
引用、参考書籍
・生薬単(改訂第3版)
(追記)2022.06.02、2023.06.05