漢方の治療方法:「本治」と「標治」

漢方の治療方法は、西洋医学のそれとは異なっています。

漢方薬の使い方は、中国の古代の文書である『黄帝内経』にある、「治病求本=治病は本に求める」という考え方に基づいています。

「標治(ひょうち)」:今強く出ている症状をとる方法。対処療法。
例)芍薬甘草湯、沢瀉湯、甘草湯など。

「本治(ほんち)」:体の根本からトラブルを出にくくしていく方法。いわゆる、体質改善です。

「同治(標本同治)」:標治と本治を同時に行うこと。

基本的に、標治の方剤は、使う生薬の種類を絞って、効き目がシャープになるようになっている傾向があります。症状を急いで取らなければいけないような場合には標治(急なれば標を治す)、そうでない場合は本治(緩なれば本を治す)、また標治しながら本治を兼ねることもあります。

実際の漢方相談では、症状が一つだけではないことが多く、何の症状をまず治していくか、治せそうか、優先順位を決めて、治療に取り組んでいます。

今ある症状も治って、体質も改善できるのであれば、本治が一番良いと思われる方もいるかもしれません。ただ、生薬をたくさんの種類入れれば、比例して効果が高くなるかといえば、実はそうではありません。それぞれの方剤には、主役になる「主薬(しゅやく)」が入っています。目立つ人が一人いた時、グループが少人数であればより存在が際立ちますね。でもたくさん人がいたら、様々な個性の人や、リーダーとは真逆の考えの人も出てきますね。たくさんの生薬が入っていることで、ある意味、バランスを取りながら穏やかな治療ができます。

標治の方剤には、主薬のみの1種のものや、2種しか入っていないものもあります。その分、主薬の効き目がシャープです。たくさん入れるとたくさんの症状にカバーできるけれど、一番効かせたい症状には効果不十分となることも出てくるのです。

例えば、ギックリ腰や寝違えた、足を攣ったなどのトラブルで使う方剤の例に、「芍薬甘草湯」。体の筋肉が強く引き攣れているような時に痛みを取りながら伸ばしてくれます。標治の方剤で、効果の実感は早いです。服用して15分位で、「あれ?なんか楽かも」とおっしゃる方もいました。

ただし、長期間毎日服用するには副作用のリスクがありますし、根本解決になる薬ではありません。短期間にギックリ腰を何度も繰り返す、生理痛があるなどがあれば、根本解決を目指して、痛みが治ったタイミングで本治に取り組みます。本治には数ヶ月~年単位でかかることも。それは病気自体の難しさのこともありますが、発症してからの期間の長さもあると感じています。

最近は、咳の風邪、お腹の風邪、とても流行っています。夏バテもジワジワ、、、急性病は空いていればご予約なしで、すぐにお薬をお出しします。こんな場合はどうか?とご心配な時には、一度ご連絡下さいませ。

カレンダー

Follow me!