漢方相談例15『食後に下してしまう』
漢方相談の症例は、症状の改善が見られ、患者様ご本人の了承を得たものを紹介しております。
患者様背景
50代後半 女性
主訴
・食事をとると、胃がもたれ、お腹を下してしまう。(スケール10:10になるほど程度が強い)
治療内容と患者様のご体調
初回来店:2024年5月。
数年前から、昼食を食べた後に、お腹がシクシクし始めて、お腹を下してしまうようになりました。出た後は、すっきりする時もあれば、お腹の不快感が続くこともあります。
4年程前から、昼食を食べると、お腹が痛くなり、下してしまうことが増えたそうです。しかも不快感が続いたり、またお手洗いに行きたいということが度々起きて、仕事に支障が出ていました。
朝はお腹が減らず、食べる気はしません。昼食は、仕事の休憩中に、様々な食材が入っているような栄養バランスが取れそうな定食メニューのお店に行くことがお好き。食べているときは平気ですが、1時間ほどすると、お腹が痛くなり、下ってしまいます。酸っぱい感じがするゲップが上がってくることもあります。夕食後には具合が悪くなりません。
病院では、「機能性ディスペプシア」を指摘されています。腸内細菌叢を整える整腸薬をお使いになられていましたが、全く効果はありませんでした。
むくみは自覚がないようでしたが、靴下の痕が残り、よく歩かれている割には筋肉が少ない感じの脚をされており、舌はぼてっと歯の痕がありました。
朝はお腹が空かず、昼頃空いてくるということがあり、まずは胃の水はけを良くし、食事がおいしく食べられそうな処方をお出ししました。薬の剤形は、粉薬のご希望でした。
すると、飲んだ初日から、頭がしゃっきりして、お腹が安定した感じがされたそうです。しかし、こってりされたものを食べたら、お腹が下り、何度かお手洗いに連続していかねばならず、しかも出てもすっきりしないということが起きました。
ゲップは減り、下痢の頻度も減り、だるさは軽く、スケール6というところまで減りましたが、「3歩進んで2歩下がる」というような感じで、すっきりしません。そこで、胃の気をしっかりと下に下げる生薬が入った胃薬の処方に変更しましたが、こちらでも程度が変わりなく、むしろ最初の方が味が良いようでした。
こういった症状の時には、できれば、あっさりとした消化の良い食事を選んでほしいものです。
しかし、体はそうであっても、心が味の濃いものを食べたくなるとおっしゃいます。間食で、甘いものをつまむことが多い。口内炎ができやすい。夕食後は出ないのに仕事中の休憩の食事では下る。数カ月前から仕事のストレスが増えた。という話が伺え、これは『傷寒論』が指す、「心気不足」の状態とみて、心気を養う生薬が入った胃薬の処方に変更しました。
すると、胃が重い感じは少しあるものの、とてもすっきりとして、体感が良くなったそうです。
完全には症状は消失していませんが、かなり良くなったので、一旦、6月末で終了とし、調子が悪い時に頓服での服用に変更したいということになりました。
養生としては、食事内容が糖質に偏りがちであるので、たんぱく質の摂取を増やすこと、十分な歩数はあるが早歩きを取り入れ、強度を上げることを提案しました。
当店をご利用頂き、ありがとうございました。
🌿漢方相談について
オーダーメイド漢方は予約優先制です。お薬作成含め、初回50分、2回目以降30分程度頂きます。2回目以降は事前のご連絡で予めご用意できます。当日相談希望の場合は、店頭、お電話などでお問い合わせ下さい。商品購入のみはご予約不要です。